∃とか∀の意味が分からないだけでも思考が止まる
2018年5月22日
しばらく間が空いてしまったが、相変わらず講義に出て研究を進めている。
近況
気が付けば入学から2か月近くが経ち、筑波大学でいうところの「春A」期間が終わった。
通常、講義は春A+春Bというセットで構成されているため殆どの講義はそのまま春B期間(7月2日まで)まで継続される。ので特に節目という感じはしないのだが、まぁ暦上はそうなっているということである。
今週締め切りのレポート3つを提出し終えてかなり気が楽になった。大学生活が久しぶり過ぎてレポートにおいては問われている問題についてどの程度まで詳しく説明すべきか良く分からなかったが、少なくともこう書けば自分は100%理解できる、という所まで説明する感じで書いた。
例えばアルゴリズム関連のレポートでは3-SATをクリーク問題に多項式時間変換する過程の説明をしたりもしたが、通常、数学における証明では具体例はあまり書かない気がするが、具体例がないと自分がアホなので上手く説明できないので「例えばx1が真でx2が偽の時にこの式は充足可能である。ので、、」みたいな感じの説明をつらつら書いたりしていた。多項式時間変換は感覚的には分かってもちゃんと証明することが難しい。
集合論が全く分からないことに気づいた
にしても、やはりCS系の講義というか工学系の講義を一切取ってなかったために色々前提知識が足りていないと感じる部分があった。
その中でも一番やばたにえんなのが集合理論の記号の意味が分からないことで、例えば講義資料や先生の板書の中で
∃∀x, y, x ∈ Z, y ∈ Z
みたいな定理が出てきても最初は全然分からなかった。
∈
は含む
というのは分かるが、カタカナのヨみたいなのはなんだろうか。。どういう意味だろうか。。あとZはなんだろうか。。*1
そういうことを考えているとその時点で思考が止まって講義の内容に全くついていけなくなった。ヤバい。
実際、数理系の講義はちょくちょく途中で式の意味が分からずにフリーズしてしまい、講義後に先生に聞きに行ったりしていた。が、やはり「あのカタカナのヨみたいなのはなんですか?ガンダムのシリーズみたいなやつ(∀)は?」とはさすがに聞いちゃいけない気がしていてその辺の質問は避けていた。
この手の記号が集合論関係ない定理の証明とかでもふつうに出てくるので知らないとホントにヤバそうに見てきた。*2
そんなある日、自分が知りたい数学の記号の意味をうまくまとめた資料(pdf)を偶然見つけた。記号の意味だけでなく、大学数学における前提知識が端的にまとまっている素晴らしい資料である。
果たしてこれは何かと思ってURL削ってみたら、立命館大学の数学学修相談会というサイトのサブテキストの1つだった。なんでも立命館大学では学生の有志が数学の学習をサポートする取り組みを行っているらしい。素晴らしい。
筑波大学にもこういうのがあると助かるのだが、さすがに集合論を一切やらずに大学院にやってくるアホなんてのは想定してないだろうし仕方がない。足りない知識は自分で勉強していくしかない。
今の自分に足りてないもの
離散数学の基礎知識
上述の集合論も含めて、代数、グラフ理論、アルゴリズムなどをひっくるめた分野として「離散数学」というのがあるらしい(全く知らんかった)。どれも勉強したことがない内容なので、どうも自分はこれを学部生時代にやってないせいで多くの前提知識が抜け落ちているらしい。 CSを勉強している学部生にとっては基礎みたいなもんらしく、学部生向けのテキストが充実してるのでこれを使って独学できそうである。
とりあえず離散数学の入門書としてamazonで評価が高かった以下2冊を読んでいる。
- 作者: 石村園子
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2007/09/30
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 97回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
- 作者: 延原肇
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2015/02/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
また、前述のアルゴリズム関連の講義も取っていたがやはりいまいちよく分からなかったというかちゃんと勉強したいので数理最適化に関する本も一冊買った(これは普通にレポート書くための参考書として使った)
- 作者: 久野誉人,繁野麻衣子,後藤順哉
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
制御工学
春Bから始まった新たな講義で「制御工学」が出てきたのだが、これもやってないので全く分からんということで大変危機感を募らせている。。 しかも状態方程式は微分方程式として表現されるので微分方程式も解けないとマズそうである。。こっちも12年前に勉強して以来全く使ってないので知識が綺麗に揮発しているため勉強しないといけない。。
これも講義で紹介された本を読まねば絶対ついていけない気配が濃厚である。
アドバンスト制御のためのシステム制御理論 (システム制御情報ライブラリー)
- 作者: 杉江俊治,前田肇
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 1990/12/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: John C. Doyle,Allen R. Tannenbaum,Bruce A. Francis
- 出版社/メーカー: コロナ社
- 発売日: 1995/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
ただ自分には入門書の方が必要な気がするので先にそっちを探した方がよさそうなので明日図書館を漁ってみることにする。独学のための教材費が結構高くなってきた*3
*1:今思えば∃は感覚的に分かるもんではなく、さらに∃の意味が分からないと式全体が何を主張しているのか分からなくなるので知らないとヤバい記号ナンバーワンな気がする
*2:haskellをちょっといじってたおかげでリスト内包表記は理解できた。
*3:図書館にないやつはできるだけamazonマーケットプレイスで買っているがそれでも定価の半額以下にならないつらみ
大学院での勉強と仕事におけるモチベーションの違い
2018年4月28日
大学院で何かを研究というか勉強している時、仕事と一番違うのは動機だと思う。
仕事だと基本的には会社のためになることを最優先でやらなければならないので、例えば過去に自分が業務として何かを勉強していた時は、その内容が仕事に必要になる可能性があるためであった。つまり、自分の意思とは関係なく外部からの要求に応じて勉強をしているということになる。
一方で大学の場合は、というか自分に関しては、仕事中の勉強とは異なり、「自分が興味があるから」という、内発的なモチベーションによって勉強しているという感じである。実際、研究テーマとして分散処理を対象とすることを選んだのも、その上で動くアプリケーション題材として深層学習を扱うことを選んだのも、結局は自分の意志である。
自分の意志でやることを決められる、というだけでも大学はすごい。というか、逆に意志がなければ本来は来るべき場所ではないのだろう。
ただ、こういう感覚は久しぶりな気がする。仕事をしていればやっぱり24時間ずっと仕事のことを考えてしまう訳で、プライベートでOSSにPR送ったり何か良く分からないオレオレ実装を作ったりもしてたけど、あくまでプライベートの開発は暇つぶしと言う位置づけで、結局は、仕事の中でどう自分の価値を高めるか、今仕事において何が必要か、ということばかりを最優先で考えていたと思う。その結果、ウェブアプリケーションしか作れない自分と向き合って危機感を感じていたのだから、何かおかしいような気もするが、結局は何をやるにしても仕事を最優先すべしという考えにとらわれすぎていたのだと思う。
今自分が深層学習 on 分散処理を勉強していて、この2年間の間に何か論文が書けたとしても、それが役に立つかどうかは全く分からない。というかすぐには役に立たない可能性の方が高い。
しかし、自分がやりたいことができる、というだけで、それは十分な価値なのだと感じる。多分、大学院にいる間はその価値を最大化するように動くのがベストだと思っていて、もちろん論文のノルマはあるので結果は出さなければならないが、できるだけ自分の興味の向くことを優先して何をするかを決めていきたいと思う。
筑波大学博士前期課程に社会人特別枠で入学するまでの道のり
2018年4月25日
今日は講義がないので1日中論文を読んでいたら流石にちょっと疲れたので、帰宅前に1時間ぐらいAtCoderのABC過去問を解いてリフレッシュしてから帰宅した。AtCoderは癒し。
先日seri::diaryの方に近況報告のエントリを書いたのだが、この1年やってきたことにも触れておいた方が良いと思ったので、入学までにやってきたことを過去のエントリと共にまとめてみる。
1. 研究室の先生に会いに行って配属許可をもらう
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
他の大学は分からないが、筑波大学の場合は出願前に配属希望の先生に配属許可をもらう必要がある。
自分の場合は1研究室しか志望しなかったので1回しか行っていないが、第二、第三希望がある場合は、その分だけ先生の許可をもらいにいく必要がある。いつ許可をもらいにいくのがベストなのか分からないが、自分の場合は2月ぐらいに行った。4月入ると新年度で忙しくなりそうだし、12月とか1月だと修論・卒論の審査で忙しいかなと思ったのでそれぐらいの日付を選んだ。
2. 出願のための準備をする
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
無事先生の配属許可をもらえたら出願の準備をする。既卒の場合は、大学の卒業証明書・成績証明書が必要だったので卒業した大学に郵便で申請した。
大学によってはそれなりに時間がかかりそうなので早めに用意しておいた方がよさそう。自分は気が早すぎて、研究室訪問から2週間ぐらい申請していたらしい。
3. 入試説明会に行ってみる
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
学外の人も参加できる入試説明会をやっていたら行ってみると良さそう。自分の場合は大学の雰囲気が分かってよかった。
ちなみに筑波大学の場合は受験に必要なすべての情報がウェブに掲載されるので、説明会に出ないと分からない何かがあるという訳ではない。直接質問が出来たりするので、何か聞きたいこととかがあればその場で聞けるというメリットはある。
4. 受験勉強する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
自分は社会人特別枠というTOEIC/TOEFLのスコアと口頭試問で受験できる枠で受験した。ので、基本的にはTOEICの勉強を中心にやっていた。
ちなみにTOEICは入試までの10か月間で4回受けて一番良かったスコアを出した。
5. 募集要項をwebで確認する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
毎年5月ぐらいに出るようなのでウェブで確認する。メールで教えてくれるサービスとかはやってないので定期的に入試関連のページをチェックしてた気がする。
6. 研究計画を書く
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
出願時に研究計画を書く必要があるので前もって準備しておく。自分の場合は書いたこともないし周りに書いたことがある人もいなかったので、どうしておっさんが仕事辞めてまで大学院に行きたいのか、大学院で何をしたいのか、ということをつらつら書いた気がする。
7. 出願する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
筑波大学の場合はウェブから出願手続きを行い、いくつかの書類を印刷して郵送するという手続きになっている。
あと受験票用の写真もウェブからアップロードするので、撮った証明写真をウェブからPNGでダウンロードできるサービスをやっている証明写真機を使うと便利。
8. 受験者心得を読む
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
これも毎日入試関連のページを見ていて掲載されるのを待っていたような気がする。
入試当日の集合時間や場所が書いてあるのでこれを読まないと詰む。
9. 入試を受ける
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
試験自体は1日で終わるのだが、仕事が忙しくて申請していても休めなかったら詰むので、念のため院試前日とセットで2日分の有給を1か月半ぐらい前に申請し、どんなトラブルがあっても院試当日だけは絶対休める体制を確保していた。*1
10. webで合否を確認する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
合格発表日当日からwebで確認できるので遠方の場合はwebで確認するとよい。
自分の場合、受かっても落ちても精神を安定させるのに時間を要すると思ったのでこの日は有給を取って朝から自宅PCの前で待機していた。
Jeff Deanとしても合格祈願されても困ると思うが、祈る対象がJeff Deanぐらいしかいなかったので見逃してほしい。
ちなみにその後合格通知書が書留で届くので、自分の受験番号目grepが信じられない場合はこちらでダブルチェックできて便利。
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
11. 引っ越しの準備をする
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
当時東京に住んでいたのでつくば市への引っ越し準備を始めた。
3月は繁忙期でめちゃくちゃ混むので、物件の確保を含めてありとあらゆる事務手続きを前倒して進めた。
電気・水道・ガスは全てwebから申し込めたので楽だったが、一方で運送会社との調整や不動産周りやフレッツ回線など、電話でしか手続きできないものが結構あって、仕事しながら電話をかけたり受けたりならなくて大変だった。昼休みにまとめて電話しまくったりしていた。
12. 入学手続書類を出す
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
かなりの量の書類を手書きで書いて提出しなければならず、かなり気力のいる作業であった。
銀行窓口での手続きとかも必要なので、これもまた有給使ってまとめて対応した。
とりあえず入学までの準備としてはこれで全て完了となる。
13. 余裕があれば研究室訪問する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
担当教官とはたまにメールで連絡していたのだが、入学前にある程度やることを決めておきたかったので3月中に一度研究室を訪問して研究の方向性や直近のタスクについて検討を行った。
もっと早い時期に訪問してもよかったのだが、先生側の忙しい時期と自分の忙しい時期がいい感じにズレてしまっていたので、まぁこの時期しかなかったかなという気がする。ただ、この時期も荷造りとか不用品の処分をしながら仕事をしていてなんだかんだで忙しく、結局この時に決めた研究に関連する作業は、引っ越し直前の有給消化期間に入らないと何も着手できなかった。
14. 入学する
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
入学式の日時、場所、およびそのあと実施されるオリエンテーションの日程が、これまたウェブでしか公開されないので、毎日ウェブをチェックして日時と教室を確認する作業が発生した。これ事前にメアド登録して連絡するサービスやってほしい。。*2
関東ITS任意継続の保険証が届いた
2018年4月7日
4/3につくば市から郵送して4/7に届いたので、登録処理にかかった日数は丸2日程度だろうか。ググったら申し込みから保険証到着まで中4日かかったという例もあったので1週間ぐらいかかるかなと思っていたが、割と早く届いてありがたい。
4月分の保険料納付期限が4/16と近かったので、さっそくwebで入金した。なお、基本的には毎月10日前後までに振り込まなければならないらしい。
1日でも納付遅れると即失効みたいなことが書いてあって怖いので、googleカレンダーの毎月1日に振り込み作業を行うタスクを登録した。一応、半期分の保険料を前納できる制度はあるようなのだが、3月と9月にしか申し込めないので4月から利用する自分は利用できない。よって8月までは毎月忘れずに振り込まなければならない。
他に定期的に支払うべき国民年金や住民税は口座振替ができるのでまだ安心できるのだが、関東ITSは対応してないようなのでちょっと運用が大変そうである。 また、健康診断についてついでに調べてみたら、任意継続者は健康診断受診時に自分で払うらしく、料金は健保指定ドッグで5,400円らしい。めっちゃ高額だったらどうしようと思ってたがさすがに保険が効いてるのか。そういえば前々職では自分で病院に予約して健康診断受けたのだが、その時も確か1万円いかなかった記憶なので同じぐらいなのか。
入学した
2018年04月06日
日が開いてしまったが、今日無事入学式を迎えた。
引っ越してからは転入届出したり国民年金加入手続きをしたり諸々書類を書いて郵送したり細々としたモノを買い揃えたりと一週間ぐらいずっとバタバタしていたのだが、なんとかそれらの作業も一段落し、無事学生としての生活をスタートする準備が整った。
研究室の席も決まったので今まで使ってたHKKBも持ち込んでいつもの環境を整えた。まだ研究室の鍵の利用申請ができていないので誰かいる時間にしか入れないのだが、来週には鍵の利用申請をして24時間いつでも研究室に行ける体制を整えられる。
引っ越しのバタバタで中断していた研究関連の作業(必要な知識のinputとか先行研究の論文を読むとか)も明日から再開できそう。
引っ越し前夜
2018年3月30日
今日東京で住んでいた部屋を退去してきた。荷物の搬入は明日なので、今日は研究学園駅前のビジホに一泊し、明朝不動産で鍵を受け取り、新居に向かう。
宿泊先は去年8月の院試前日にも泊まったホテルマークワン 研究学園駅 である。
serihiro-graduate-school.hatenadiary.jp
院試に落ちていたら入試のタイミングが筑波大学およびつくば市見納めのタイミングになるところであったが、なんとかまた来ることができた。そして少なくとも明日から2年間はつくば市で生活することになる。
論文の書き方もわからない状態なのでこれから色々大変だろうけど、ようやく得ることができた「自分に100%投資できる時間」なので大事に使っていきたい。